その絵を見たとき、私はなぜか懐かしさを覚えました。けれど、それは決して“昔を思い出す”という意味ではありません。
むしろ、「ずっと忘れていた自分」が、そこに置き去りにされていたような感覚でした。
芳文社「まんがタイムきららキャラット」で連載中の『ばっどがーる』。
作者・肉丸先生が描くのは、ただの“日常”でも“ギャグ”でもありません。
ふとした仕草や視線の動きに、どこか「触れてはいけない寂しさ」がにじんでいます。
2025年7月、その『ばっどがーる』がアニメとして私たちのもとへ届きます。
すでに公式PVが公開され、主題歌も話題に。
ネットを駆け巡る「待ってた」「これをアニメにしてくれてありがとう」という声の数々は、作品が静かに積み上げてきた信頼の証です。
この記事では、肉丸先生という“語り手”の魅力、pixivでの軌跡、そしてアニメ版に込められた新たな息吹についてお伝えしていきます。
- 『ばっどがーる』の作者・肉丸先生が描く“感情の機微”と代表作の世界
- pixivをはじめとした創作の足跡と読者とのつながり
- アニメ版の放送日、キャスト、主題歌など心踊る最新情報
「ちょっと変わった女子たちの日常劇」──そんな一文では到底語り尽くせない『ばっどがーる』の魅力。
次章では、肉丸先生の“物語の源泉”に、そっと触れていきたいと思います。
そのキャラの“目線”に、私は何度も救われた――肉丸先生という語り手の輪郭
「キャラのひとことが、なぜこんなに胸を打つのか?」
私がそう感じたのは、初めて『ばっどがーる』を読んだ日でした。
作者・肉丸先生は、今、きらら系の中でも静かに注目を集める気鋭の漫画家です。
特に4コマという限られた形式の中で、言葉に頼りすぎず、感情の揺らぎを描き出すその手腕は、若い世代を中心に深く支持されています。
pixivで公開された作品群でもその才能は光り、
見る者の心に「この子たちをもっと知りたい」という衝動を残してくれます。
“きらら”の風景に、新しい呼吸を吹き込んだ人
肉丸先生のキャリアは、2020年12月のゲスト掲載が出発点でした。
そこからわずか半年で、2021年5月号から『ばっどがーる』の連載がスタートします。
物語の軸となるのは、「優等生が不良に憧れる」という設定。
一見コミカルな構図ですが、その中に描かれる“憧れという名の寂しさ”が、読む者の胸をひそかに締めつけます。
“きらら系”の文脈を踏まえながらも、どこか異物感のある空気。
それこそが、肉丸作品の個性であり、唯一無二の強みです。
pixivに広がる、もう一つの「ばっどがーる」
pixivには、本編では描かれなかった表情や関係性の断片がそっと置かれています。
特に、優谷優や水鳥亜鳥の“何でもない瞬間”の表情集は、「このキャラたちは本当に息をしているんだ」と感じさせてくれるものばかり。
時にラフな落書き、時に独白のような短編。
そこには、プロとしての顔とは違う、創作者・肉丸の“素”が確かに息づいています。
「小さなまなざし」が、誰かの心を照らすまで
商業作としての『ばっどがーる』が代表作ではありますが、実はTwitterや個人サイトでも短編の発表が行われていました。
一貫しているのは、優しさと毒気、寂しさとユーモアが同居する世界観です。
言葉では語られない感情を、表情で届けてくる。
それが、肉丸作品を読むという体験の醍醐味であり、心がほどけてしまう理由なのかもしれません。
この先、アニメ化を経て、作品はもっと遠くまで届いていくはずです。
けれど私は、あのときpixivで見た“たった一コマ”の表情を、これからも忘れないでしょう。
「会えない時間の彼女たちに、ページの中でまた出会える」――『ばっどがーる』連載と単行本情報
雑誌をめくる瞬間。ページに目を落とすそのわずかな一秒に、
「今日も、この世界はここにある」と思わせてくれる作品があります。
『ばっどがーる』は、芳文社の人気4コマ誌『まんがタイムきららキャラット』で連載中。
さらにニコニコ静画の「きららベース」では、雑誌未収録のミニエピソードも定期的に更新されています。
つまり“本編”と“寄り道”の両方を楽しめる――それがこの作品のもう一つの贅沢です。
はじまりは、ささやかなゲスト掲載から
『ばっどがーる』の正式な連載は2021年5月号から始まりました。
その前に、2021年2月号からの2回はゲスト掲載という形で登場していたのです。
4コマという制約のなかに、人と人が近づいたり、少し離れたりする“気配”が描かれている。
それが読者の心をそっとすくい上げ、いまや読者アンケートでも常に上位を維持する人気作へと育ちました。
第4巻までの道のりに詰まった、“ふたり”の成長
2024年7月25日時点で、単行本は第4巻まで刊行されています。
各巻には雑誌掲載分のエピソードに加え、描き下ろしのおまけページや限定コマが多数収録。
本編では見られなかった“素”の表情が、そこにはあります。
電子書籍でも全巻が配信中で、いつでもどこでも彼女たちに会えるのは、今の時代ならではの幸せです。
忙しい日々の中で、ふと誰かの表情に心を止めたくなったとき。
『ばっどがーる』は、ページの中で静かにこちらを見つめ返してくれます。
あの日の“憧れ”が、ついに動き出す――アニメ『ばっどがーる』2025年夏、開幕
2025年7月6日。
その日を、どれだけの人が指折り数えて待っていたでしょうか。
テレビアニメ『ばっどがーる』が、TOKYO MXをはじめ全国でついに放送開始となりました。
監督は古田丈司氏、シリーズ構成には米村正二氏。
キャラの「間」や空気感を何よりも大切にする実力派たちが、この作品の“息づかい”を丁寧にすくい取ってくれています。
放送と同時に各種配信サービスでも視聴可能となり、
日常のすき間時間にふと“彼女たち”に会える幸福が、そこにはあります。
放送と配信、どちらでも――深夜1時の“儀式”にようこそ
アニメ『ばっどがーる』は、TOKYO MX、BS11、AT-Xなどで毎週日曜深夜1時より放送されています。
一方で、Amazon Prime Video、U-NEXT、dアニメストア、ABEMAでは日曜0時からの配信も行われており、
“地上波より早く観られる”という選択肢が用意されているのも特徴です。
この深夜という時間帯が、作品と向き合うにはぴったりなのかもしれません。
一日の終わりに、ふと息を吐くように再生ボタンを押す――そんな“個人的な儀式”が生まれています。
PVの声、そして音楽が、世界をつなぐ
公式PVは第2弾まで公開されており、キャラボイスや第1話の先行映像、主題歌の一部も試聴可能です。
OPテーマは天狼群の「すーぱーびっぐらぶ!」、EDテーマはZAQによる「BAD SURPRISE」。
どちらも“ばっどがーる”らしい、ポップでちょっと不器用な愛しさが詰まった楽曲です。
主題歌のCDや配信リリースも予定されており、音楽から作品に触れる人もきっと増えていくでしょう。
静かに幕が上がったアニメ版『ばっどがーる』。
それは、原作を追い続けてきた私たちの心に、「よく来たね」と語りかけてくれるような時間です。
笑って、ちょっと切なくて、愛おしい――アニメ『ばっどがーる』の見どころと追加キャストの妙
アニメ『ばっどがーる』は、原作が持つちょっといびつで、だけど真っ直ぐな可笑しさを、
テンポのいい間合いと豊かな表情の演出でさらに深化させています。
特に、日常のすき間に生まれる“ばっど”な挑戦たち。
声優陣の呼吸とともに紡がれるその瞬間が、
ただのギャグを超えて、観る者の「忘れていた笑い」をそっと呼び起こしてくれます。
アニメでは新キャラクターの登場も加わり、
オリジナル要素を交えながら、原作ファンにも新規視聴者にも開かれた作品として話題を集めています。
先行映像で伝わる、あの“目線”の使い方
第1話では、優谷優が風紀委員長・亜鳥に認知されようと試みるエピソードが描かれます。
その一連のやりとりは、視線の演出とギャグの間が絶妙に組み合わさり、
テンションの高いやり取りの中に、ふと見える“素直になれなさ”が胸に残ります。
さらに、先行カットで登場した「ADC(亜鳥様大好きクラブ)」の活動シーンも、
ネタの細やかさと演出の緻密さが光る場面です。
こういう“ディテールの真剣さ”こそが、作品全体の魅力を支えているのだと感じさせてくれます。
堀江由衣さんが演じる“小さな革命児”小鞠まりあ
新キャラ・小鞠まりあは、幼稚園児ながらにして“亜鳥様”を敬愛する「ADC」の頭取。
そんな小鞠を演じるのは、ベテラン声優・堀江由衣さん。
「この配役は天才だ」と言わしめるだけの説得力が、
その声から滲み出ています。
愛らしくも一途すぎる小鞠の姿は、観ているだけで心がくすぐられます。
さらに、Lynnさんが清木清役、前田佳織里さんが水鳥水花役として登場。
ベテランから若手まで、声の表現力が作品に深みを添え、
物語の中の「温度差」まで丁寧に描いてくれています。
これは、単なる日常ギャグアニメではありません。
私たちが置き忘れてきた、“素直になりたかった頃の声”が、ここにはあるのです。
まとめ:これは“ばっど”な青春じゃない、“まっすぐ”な衝動の物語だ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
『ばっどがーる』という作品には、
「笑える」だけでは片づけられない、“生きづらさの裏返し”みたいな優しさが流れています。
その物語を描く肉丸先生。
そして、声を吹き込むキャストやスタッフ。
すべての表現が、この小さな“ばっど”の世界を、もっと大切にしてあげたくなる理由を与えてくれます。
原作から入った人も、アニメから触れた人も、
この作品のなかに、きっとどこか自分を見つけるはずです。
pixivにそっと置かれたスケッチも、書店に並んだ単行本も、
夜更けに再生ボタンを押したその瞬間も――全部が、この物語の「一部」なのだと私は思います。
これからも続いていく“彼女たち”の日々。
どうかその一歩一歩を、見届けてあげてください。
あなたの中の「懐かしい衝動」が、またひとつ、呼び覚まされるかもしれません。
- 『ばっどがーる』は肉丸先生が描く“日常と衝動”の4コマ漫画
- 2021年より『きららキャラット』にて連載中
- 優等生が「不良」を目指す奇妙で可笑しい青春譚
- pixivでは未収録スケッチや短編も閲覧可能
- 単行本は第4巻まで刊行済み、電子版もあり
- 2025年7月よりTVアニメ放送中
- 主題歌「すーぱーびっぐらぶ!」ほか、音楽にも注目
- 堀江由衣さんなど実力派キャストが出演
- 地上波・配信サービスで視聴可能、いつでも出会える
コメント