2025年7月7日からTOKYO MX・BS11ほかで始まったTVアニメ『出禁のモグラ』。江口夏実氏の原作を、主人公・百暗桃弓木(通称モグラ)役として中村悠一さんが謎をまといながら彩ります。
- 登場キャラクターと演じ手の全貌
- 中村悠一さんが命を吹き込むモグラの心情
- 関連メディア展開の最新情報
モグラ(百暗桃弓木)役:中村悠一
『出禁のモグラ』の主人公・百暗桃弓木(もぐら)は、自らを「仙人」と名乗る風変わりな存在です。
この世とあの世の境目に身を潜め、「灯(ともしび)」と呼ばれる幽霊たちの想いを拾い集める――そんな日々を、彼はまるで呼吸のように淡々と送っています。
あの世から出入りを禁じられたという背負った運命が、彼の佇まいにある種の諦念と、奇妙な優しさを滲ませます。
朽ちかけた銭湯「もぐら湯」でひとり暮らし、表情の奥に何を想っているのかは読み取りづらい――それでも、モグラという人間(いや、人間だった存在)は、どこか私たちの“隣にいる誰か”のように感じられるのです。
幽霊にも、人間にも、線を引いてはいるけれど、気づけばそっと隣に立ってくれている。その皮肉まじりの言葉すら、どこか心を解かすような不思議な温度を持っています。
そして、この複雑で魅力的なキャラクターを演じているのが中村悠一さんです。
シリアスからコミカルまで、役の奥行きを自在に引き出せる中村さん。今回のモグラ役では、その飄々とした台詞回しと、ふとした間の取り方、そして感情のしずくがこぼれる瞬間の抑揚が、見事にマッチしています。
インタビューで中村さんは「感情の起伏が少ないように見えて、実は深いものを抱えている」と語っていました。
まさにその言葉どおり、モグラという存在の“静かな激しさ”を、中村さんは声という刃で、そっと切り取って見せてくれるのです。
無愛想で、ときどき突き放すくせに、なぜか憎めない。その絶妙な“余白”こそが、モグラというキャラクターの本質であり、中村悠一さんが命を吹き込んだからこそ、私たちは彼に惹かれるのかもしれません。
ひょうひょうとしていながら、ふとした拍子に誰よりも深い場所に触れてしまう。
そんなモグラの“声”に、私は何度も心を奪われました。
大学生コンビ:真木栗顕&桐原八重子
『出禁のモグラ』という“この世とあの世の隙間”を描く物語。その入り口に立つのが、主人公モグラと出会うことで、日常の境界線を越えてしまう2人の大学生――真木栗顕(まきぐりあきら)と桐原八重子(きりはらやえこ)です。
彼らは、視聴者と物語をつなぐ“通訳”のような存在。目に見えないものに出会い、戸惑いながらも踏み出していくその歩幅に、私たちは自然と感情を重ねてしまいます。
「普通の人たち」が、非日常のなかで何を見て、何を抱えるのか。その過程が、この物語の温度を決定づけているのです。
真木栗顕役:大河元気
真木栗顕は、特別な力もない、ごく普通の大学3年生。
何の前触れもなくモグラと出会い、目の前の世界が静かにズレはじめる。それまでの平凡な日々に、小さな“異物”が入り込んでしまうのです。
臆病で、優しくて、でもどこか決めきれない。そんな彼の曖昧さは、まさに今を生きる私たちそのもの。だからこそ、真木栗の視点が作品の中で静かに効いてくるのです。
演じる大河元気さんは、「リアルとファンタジーの狭間にある感情をどう音にするか」を大切にしているそう。
特に、幽霊との遭遇で生じる“恐れ”や“混乱”の震えを、あえて言葉の隙間で表現している点が印象的です。
“普通の人間代表”という役割を、無理なく、でも確かに演じている——そんな等身大の声が、物語に現実感を与えています。
桐原八重子役:藤井ゆきよ
桐原八重子は、真木栗の友人であり、もう一人の目撃者。
聡明で冷静。でも、心のどこかにある不安や迷いをきちんと抱えている女性です。
八重子という存在は、単なるツッコミ役ではありません。モグラの存在に対して抱く疑念、そしてそれでも一歩を踏み出そうとするその“勇気”が、物語にリアルな重みを加えているのです。
藤井ゆきよさんは、「しっかり者でありながらも、どこか繊細で怖がりな部分」を丁寧に拾い上げ、八重子というキャラに立体感を与えています。
一見、理性的で揺るがない彼女が、ふと声に滲ませる迷い。そこに、人としての“リアル”が宿ります。
モグラや真木栗とのテンポの良いやり取りも見どころで、会話のリズムが視聴者の感情に心地よい波を作ってくれます。
この2人がいたから、私たちは“モグラの世界”に入っていけた――そう感じられる大学生コンビです。
モグラと関わる者たち
『出禁のモグラ』という不思議な世界には、ただ奇抜なだけでは終わらない、奥行きのあるキャラクターたちが登場します。
彼らは皆、それぞれの想いを背負い、時にぶつかり合い、時に寄り添いながら、モグラという中心を軸に複雑な関係性を織りなしていきます。
“人間の形をした感情のかけら”たち――そんな彼らを演じる声優陣の演技もまた、作品の空気をつくる大切な要素となっています。
猫附梗史郎(ねこづけこうしろう)役:村瀬歩
祓い屋の家系に生まれ、化け猫の霊を従える高校三年生、猫附梗史郎。
その表情は静かで、口数も多くはありません。しかしふとした瞬間にこぼれる優しさや、仲間を思う眼差しが、彼の“人としての体温”を教えてくれます。
村瀬歩さんは「ミステリアスさと人懐っこさの間をどう渡るか」という問いを抱きながら、梗史郎の声を紡いでいます。
その語尾に残る余韻や、感情を抑えたトーンの中に宿る“揺れ”が、キャラに確かな実在感を与えています。
猫附藤史郎(ねこづけとうしろう)役:武内駿輔
大学教授であり、祓い屋でもある藤史郎は、知識と経験を重ねてきた人物。
その言葉には重みがあり、場を支配するような威厳をまとっていますが、その奥にある“語られなかった過去”が、時折その声に陰影を落とします。
武内駿輔さんが放つ、低く深い声。そこには、理性と感情がせめぎ合う音の“圧”があります。
冷静さのなかにわずかににじむ揺れ。それが藤史郎という人物に、ただの“賢者”ではない“人間の奥行き”を与えているのです。
犬飼詩魚(いぬかいしお)役:藤田茜
明るく元気な高校1年生・犬飼詩魚は、「幽霊に好かれやすい体質」という特異性を持ちながら、ひたむきにこの世界と向き合っています。
天真爛漫で、くるくる変わる表情。その裏側にある、小さな不安や疑問を、彼女は見て見ぬふりをせず、自分のペースで受け止めていきます。
藤田茜さんの演技は、まるで詩魚の心の奥に小さな風を吹かせるよう。
明るい声の奥にある、ほんの少しの怯えや決意が、彼女の言葉を“ただの元気”で終わらせません。
詩魚というキャラの一番の魅力は、その“まっすぐさ”が時に揺れ、また立ち上がっていくこと。彼女の存在が、この作品に光と色を添えているのです。
そのほかの注目キャラと声優
『出禁のモグラ』は、決して“主役”だけで物語が動いているわけではありません。
画面の端にいるキャラクターたちにすら、確かな体温と人生が宿っている――それが、この作品の懐の深さです。
ここでは、そんな“脇役”と呼ばれるには惜しすぎる登場人物たち、そして彼らに命を吹き込む声優陣の魅力を紹介します。
- 猫附杏子(ねこづけきょうこ):種﨑敦美
梗史郎の母にして、霊感を持つ“もう一人の静かな観察者”。母としての温もりと、非日常を冷静に受け止める強さ。その両方を、種﨑敦美さんの柔らかで芯のある声が見事に両立させています。 - マギー君:豊崎愛生
レッサーパンダの幽霊という設定だけで、すでに心がくすぐられますが、その“可愛さの奥にある寂しさ”を引き出しているのが豊崎愛生さんです。表情豊かな語り口と、ほんの少しの“間”が、このキャラに命を与えています。 - スケキヨ:マフィア梶田
100円ショップ店長という肩書きを持ちながら、どこか“この世界の理”を知っていそうな人物。マフィア梶田さんの飄々とした演技が、スケキヨというキャラの重さと軽さ、その絶妙なバランスを生んでいます。 - 浮雲:庄司宇芽香
駄菓子屋の店主。すべてを見透かしたような目と、それをあえて語らない距離感。庄司宇芽香さんが声に込める“余白”が、キャラに一層の奥行きをもたらしています。 - その他の出演者:中村源太、秋山実咲 ほか
物語を彩る“名もなき登場人物”にさえ、息遣いが感じられるのは、声優たちの繊細な演技力ゆえ。一言であっても、それが世界観を支えていることに気づかされます。
『出禁のモグラ』は、モグラだけの物語ではありません。
むしろ、その周囲にいる者たちの“過去”や“気配”、それらが織り重なって、ひとつの世界が形作られているのです。
“物語の奥行き”を支えている名もなき声たちに、今、静かに拍手を送りたくなります。
この先、彼らがどんな表情を見せてくれるのか。その瞬間を見逃さぬよう、どうか心を澄ませて観ていてください。
最新情報:ラジオ番組「出禁のモグラジオ」スタート
『出禁のモグラ』の放送と並行して、関連ラジオ番組「出禁のモグラジオ」がスタートしました。
この番組は、物語の“表”だけでは見えなかったものを、声の“裏側”からそっと照らしてくれます。
キャストが語る想いや、作品づくりの裏話――それはまるで、あの銭湯「もぐら湯」の裏口から、静かに世界へ忍び込むような感覚です。
番組概要と初回ゲスト
文化放送にて2025年7月6日(日)19:30より放送開始となった『出禁のモグラジオ』。
パーソナリティを務めるのは、真木栗顕役の大河元気さんと、桐原八重子役の藤井ゆきよさん。
まさに“物語の入り口”となる2人が、声優としてだけでなく、一視聴者のように語るその空気感が、とても心地よく感じられます。
記念すべき第1回には、モグラ役の中村悠一さんがゲスト出演。
役作りの話はもちろん、声に込めた“迷い”や“間合い”について語る姿に、彼がどれだけこのキャラと向き合ってきたかが滲み出ていました。
ファンとの交流と今後の見どころ
ラジオでは、リスナーからの投稿、キャラクターやアフレコ現場の裏話など、ここでしか聞けない“音の物語”が紡がれています。
言葉ではなく“声”として伝わってくる熱量。その柔らかい温度が、私たちの中にじんわりと広がっていくのを感じました。
今後もゲストキャストの出演が予定されており、回を重ねるごとに、作品の輪郭がより立体的に見えてくることでしょう。
アニメ本編と響き合うもうひとつの“声の物語”として、『出禁のモグラジオ』はきっと、私たちにとって週に一度の“灯”となっていくはずです。
まとめ|声優紹介&中村悠一の主役魅力に迫る
『出禁のモグラ』は、“幽霊と人間のあいだ”という曖昧で、どこか切ない場所を舞台にしながらも、ユーモアと感情の波が交錯する物語です。
その空気を成立させているのが、息をするように自然なキャラクターたち、そして彼らに命を与える声優陣の存在です。
とりわけ中村悠一さんが演じるモグラという存在は、音の温度だけで“人間の深さ”を伝えてきます。
視点を預ける大学生コンビ・真木栗と八重子、霊と共に生きる猫附一家、そしてどこか憎めない幽霊・マギー君。
彼ら一人ひとりが、物語にとって“欠けてはならない存在”として、確かな重さを持ってそこに在るのです。
声優たちは、言葉の表面だけではなく、その裏にある“ためらい”や“温もり”まで声にして、世界を立ち上がらせてくれています。
だからこそ、この作品は“音”で人の心に触れるのです。
加えて、ラジオ番組『出禁のモグラジオ』というもうひとつの扉も開かれ、ファン同士のつながりや作品理解をより深く育てる場になっています。
本編とラジオ、二つの“声”が交わることで、物語はより多層的に、豊かに膨らんでいきます。
そして今――
『出禁のモグラ』は、“声で物語を織る”という新たな表現のかたちを提示している、今期屈指の注目作です。
- 『出禁のモグラ』登場キャラと声優陣の魅力を深掘り
- 主人公モグラを演じる中村悠一さんの表現力に注目
- 大学生コンビによる視点が物語の入口に
- 猫附家や詩魚など、多彩なキャラクターの個性
- 幽霊と人間の“交差点”が描く新たな人間ドラマ
- ラジオ番組『出禁のモグラジオ』で裏話や声優の本音も
- 声優ファンにも刺さる、繊細で立体的な演出
- 音と物語が響き合う、心に残る新感覚アニメ
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